定期借家契約の使い方
賃貸借契約を締結する際に注意することはありますか?
今回は、下記のQ&Aをもとに、定期借家契約の利用法について解説します。
私は、35才の会社員ですが、このたび、居住用にと、都内にワンルームマンションを購入しました。ところが、直後に、2年間の転勤が決まってしまいました。部屋を遊ばせておくわけにもいかないので、マンションを賃貸に出すことにしようと思うのですが、2年後に東京に戻ってきたときには、借りている方には出て行ってもらい、自分が住もうと考えています。
幸い、仲介業者を通じて借主候補はすぐに見つかったので、賃貸借契約を締結しようと考えています。何か注意することがありますか。
一般的な借家契約を結ばないこと
上記のケースの場合、定期借家契約を締結しないと、2年後に東京に戻ってきても、借主を出て行かせることができない可能性があります。
定期借家契約ではない一般的な借家契約の場合、たとえ契約期間を2年間と定め、その期間が満了したとしても、それだけでは、借主を退去させることはできません(もちろん、借主が任意に退去に応じた場合は別ですが)。
退去させるためには、貸主側において、どうしても、その借家を使用しなければならない事情があるなど、いわゆる「正当事由」が必要とされます。また、「正当事由」が認められるためには、立退料が必要とされるケースも多いのです。
したがって、もし、あなたが、一般的な借家契約を結んでしまっていたとしたら、2年後に東京に戻り、はれて自分のマンションに住もうと思っても、借主が出て行かせることができないという事態もありうるのです。
このような事態を防ぎ、あなたのような方のニーズに応じるため定められたのが、定期借家契約という制度です。
この定期借家契約を結ぶ場合の注意点は次のとおりです。これらの注意点を守らないと、定期借家契約とは認められないことになります。
定期借家契約を結ぶ場合の注意点
①公正証書など書面で賃貸借契約を締結すること
②契約書には、契約の更新がなく、期間満了により終了することを記載すること
③契約書で定める契約期間は、必ず確定した期間を定める必要があること
※例えば、「転勤が終了したとき」などという不確定要素のある定めでは、定期借家契約とは認められません。
④契約の更新がなく、期間満了により終了することを、事前に、書面を交付して説明すること
※これは、②の契約書への記載とは別途に行う必要がありますので、注意して下さい。
⑤契約期間を1年以上と定めた場合には、期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に、
借主に対し、期間満了により終了する旨の通知をしておかなければならないこと。
以上、今回は、定期借家契約についての解説でした。