契約解除を有効とするには
借主が借家を無断で転貸した場合でも、それだけで借家契約を直ちに解除できるわけではありません。この場合でも、判例は、貸主と借主間の信頼関係の破壊の有無を問題とします(最高裁/昭和28年9月25日判決など)。
つまり、借主が借家を無断転貸した場合でも、借主と貸主との信頼関係が破壊されたと認められて、初めて契約解除が有効となるのです。
では、信頼関係が破壊されていないといえるのは、どんな場合でしょうか。
借家を無断転貸した場合でも、それまでの使用状況と変わらず、貸主に特に実害を及ぼさないような場合には、信頼関係が破壊されていないといえるでしょう。
また、貸主が無断転貸の事実を知りながら一度も制止しなかった場合も、当事者同士の信頼関係は破壊されていないといえるでしょう。
しかし、特別な事情がない限り、無断転貸の事例では、貸主と借主の信頼関係は破壊されたと判断されるケースは比較的多いと思われます。
もし、貸主が借主の友人の同居を知りながら一度も制止しなかったような場合には、先の例にあるように、信頼関係は破壊されていないと判断される可能性もあります。
面倒かも知れませんが、その都度指摘し、制止するなどの行為をしておく必要があるでしょう。そうでなければ、場合によっては「黙認した」と受け取られかねないのです。