ペット飼育禁止なのに無断で飼っている!
モラル関連のトラブルとしては、「ペット飼育禁止のはずなのに、勝手にペットを飼っている」というケースも多いでしょう。空前のペットブームという時代背景もあり、ペット禁止と知りつつ、犬やネコを飼ってしまう借主は少なくありません。
ペット飼育禁止の賃貸物件では、ほとんどの場合、賃貸借契約書にその旨を記載していることでしょう。問題はそれにより、借主との賃貸借契約を解除できるかどうかです。
結論から言いますと、賃貸借契約のペット飼育を禁止する条項だけでは契約を解除できない、ということになります。
過去の裁判の判例を参考にすると、契約を解除できるケースは、回復しがたい損害を建物や近隣に与えた場合に限定されます。回復しがたい損害とは、ペットの鳴き声で他の入居者に迷惑をかけたり、室内を損壊した時などです。
ただし、過去の判例では、回復しがたい損害がないケースでも特約があれば賃貸借契約を解除できる、とした判例もあります。
いずれにしても、ペット禁止を前提にしている物件なわけですから、「速やかに退去してもらう」、「ペットを飼うのを諦めてもらう」を念頭に借主との交渉を行い、それでも改善されない場合、法的手段をとるのがよいでしょう。