負担の重い強制執行は最後のカードと考える
民事裁判をおこしてから強制執行までの流れを解説しますと、裁判で明け渡しの判決が出たからといって、すぐに明け渡しになるわけではありません。
以下の手続きを行うことで明け渡しが実行できます。
①裁判で「明け渡し」の判決が出る
②判決が出た裁判所に「強制執行の申し立て」を行う
③判決が相手に届いた証明となる「送達証明書」を裁判所からもらう
④賃貸物件を管轄する地方裁判所へ強制執行申立書、判決正本、送達証明書を 裁判所に提出し、「強制執行の申し立て」を行う
⑤執行官が借主に対して明け渡しを「催告」する
⑥執行官が借主に対して明け渡しを「断行」する
⑥の「明け渡しの断行」によってやっと、強制的な鍵の解錠、部屋の中の荷物の運び出しが行われます。通常、④「強制執行の申し立て」から、⑥「強制執行の断行」までに要する期間は約1ヶ月半程度です。
ちなみに、強制執行にかかる費用は、貸主がすべて負担することになります。
強制執行に必要な主な費用は、
・執行予納金
・断行時の人件費とトラック代
です。執行予納金の額は、東京地裁の場合は6万5千円(2008年2月現在)、断行時の人件費とトラック代は、運び出す荷物の料に応じて、数万円から100万円超が一般的です。
このように強制執行は、貸主にとって大きな負担となります。最終的なカードと考えて、借主本人が自ら明け渡しを行うよう交渉するのが賢明です。