借主が全額一括払いを申し出てきた時の対応策
契約解除の催告後の借主の対応はいくつか想定されます。
その中の一つは、「契約解除の通告後、これまで滞納していた家賃を全額支払ってきた」というものです。借主側から見ると、これ以上、滞納した家賃の支払いを引き延ばすと、契約の解除と明け渡しが現実味を帯びてきたためプレッシャーを感じて支払った、というケースです。
これに対して、貸主が、「滞納賃料を支払ったのだから、契約の解除を取り消し、このまま契約を継続しても良い」と考えれば全く問題はありません。
問題となるのは、貸主が、「全額支払ったとしても、今回の滞納によって信頼関係は壊れたから契約を解除したい」と考えた場合です。
「散々迷惑をかけられたのだから、このような借主とはもうつきあいたくない」というお気持ちも分かりますが、借主が全額を支払えば契約の解除はできません。なぜなら、法的には、滞納していた家賃を全額支払った時点で、「契約解除の理由」がなくなるからです。