失業した家賃滞納者にも毅然とした態度をとる
催告後の借主の反応としては、泣きついてくる、情に訴えてくる、あやふやな回答しかしない、なども考えられます。これは、失業をした人などに多いでしょう。
たとえば、「リストラされまして……就職が決まりましたら、必ず、すぐに貯まった家賃をお支払いしますのでなんとか……」と泣きついてきたケースで考えてみましょう。
情に厚い方なら、「路頭に迷っている人を追い込むわけにはいかない……」という気持ちになってくるでしょう。しかし、借主は定期収入の道が絶たれたかもしれませんが、預貯金が残っている可能性もあります。たとえ、預貯金がなくても、株や車などの処分できる財産があるかもしれません。また、保証人にお願いすれば、すぐにお金を貸してもらえる状況かもしれません。
しかし、こういったすべての状況を貸主が把握することは不可能です。たとえ、ヒアリングを行っても、本人が事実を話しているとも限りません。ですから、「厳しい状況というのは分かりますが、この状態が続くと法的措置をとる可能性があります」ということは一貫して伝えるべきです。
また、やりとりの内容は、通常の借主の時と同様、支払い期日を設定し、それを書面で残しておくのが賢明です。
あなたがこのような毅然とした態度をとることで、借主が甘えは許されないという気持ちになり金策を行う気になることもよくあります。滞納する家賃が増えれば増えるほど、支払いが困難になることは言うまでもありません。そうなれば、借主自身が追い込まれることになります。あなたが早めに手を打って、支払いを行わせることは、間接的に借主のためにもなるのです。
催告を行った時点で、借主には支払い能力がないと判断した場合は、連帯保証人に連絡をとる選択肢もあるでしょう。ただし、本人に知らせないままいきなり連帯保証人に連絡をすると、借主が逆上することもあり得ます。そうなると、連帯保証人とのやりとりにも支障をきたしやすくなります。
このようなトラブルを未然に防ぐために、催告後の段階で、「○月○日までに滞納家賃を支払わないと連帯保証人に連絡する」と告知し、支払いが履行されない時に連絡をとるのが望ましいと思われます。もちろん、連帯保証人が支払いを拒否した場合は、民事裁判をおこすことも視野に入れるべきでしょう。その場合、借主と連帯保証人を併せて訴えることができます。