家賃の催告はどのような手段で行うべきか
では、次に家賃滞納に関する知識を学んでいきましょう。
家賃滞納が発生した時、はじめに行うことは、「支払いを借主に催告する」です。
家賃滞納の場合の催告とは、債権者(貸主)が債務者(賃料を滞納している借主)に対して、「滞納している家賃を○月○日までに支払ってくださいと請求すること」を言います。
同時にこの支払いが期日までに行われない場合は、「賃貸借契約の解除もありうる」という意思を伝える必要もあります。
催告を行う際には、滞納家賃支払いまでの「相当な期間」を設定する必要があります。
この期間をどれくらいに設定するかは、催告をする貸主側の自由ですが、一般的には1週間〜10日程度に設定するケースが多いようです。
この催告に対して、家賃を滞納している借主が支払いを行わない場合、賃貸借契約の解除権が生じます。
この催告を飛ばして一方的に賃貸借契約を解除することは原則として民法では認められていません。
たとえ、賃貸借契約書の中に、「○ヵ月分の賃料を滞納したら契約を解除する」といった内容の文言があっても同様です。契約書内にこのような文言が入っていることは、家賃滞納のリスクを抑える一定の効果はありますが、法的には意味がないといえます。
借主に対して、勧告をする方法としては、次の選択肢があります。
①口頭(電話、対面)
②普通郵便
③郵便(普通郵便、内容証明郵便)
④FAX
⑤Eメール
⑥通常使用している請求書
これらはすべて法的に有効な催告の方法です。つまり、相手に催告する手段は、どのような方法でも良いのです。
ここまでお読みいただいて、「内容証明でないと賃貸借契約の解除権が生じないのでは?」と思った方もいるかもしれませんが、それは誤りです。
内容証明の催告には、後日、立ち退き請求をする時、裁判になった時などに備え、証拠を残しておくという意味があります。
他の手段を使うと、証拠を残すという点においては、内容証明に劣りますが、催告をしたことにならない、ということではありません。
内容証明と、その他の手段の使い分けとしては、裁判の可能性が考えられる家賃滞納では内容証明、そうでない通常の家賃支払いの遅れ(単に支払い忘れている可能性がある等)では、他の手段を選択するとよいでしょう。
個人的には、家賃滞納の初期段階の催告では、普通郵便による催告が望ましいと考えます。
ぜひ、前項で紹介した文面フォーマットを活用してください。