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用法遵守義務違反が争点となった判例

用法遵守義務違反による契約解除が問題となった事例では、契約解除を無効とした判例と有効とした判例があります。
1.契約解除を無効とした判例
この判例では、借主がそれまで活版印刷の工場兼事務所に使っていた建物を、写真印刷の製版のための作業所に変更したことに対し、貸主が契約を解除したことが有効かどうかが争われました。
この点、東京地裁は、写真印刷の製版作業は活版印刷作業よりも静かで清潔な作業であり、貸主に不利益を及ぼさないこと、写真印刷の製版作業に変更したのは借主に止むを得ない事情があったこと、また、原状回復はそれほど困難ではなく建物に重大な影響を及ぼさないなどの理由から、信頼関係破壊に至っていないとして、契約解除を無効としました
(東京地裁の平成3年12月19日判決)。
2.契約解除を有効とした判例
この判例では、会社の事務所に使用するために借りたビルの一室を、借主がテレホンクラブの営業に使用したことを理由とする契約解除が有効かどうかが争われました。
東京地裁は、借主の営業によりビル全体の品位が損なわれ、警察の捜索を受けるなどビル所有者として好ましくない事態が生ずる恐れがあること、契約を結ぶ際に借主がテレホンクラブを営業することを隠しており、それがわかっていれば貸主は物件を貸さなかったこと、また、他の入居者からも苦情が出ていることなどから、信頼関係が破壊されているとして契約解除を有効としました(東京地裁の昭和63年12月5日判決)。
このほかに、契約解除を有効とした判例としては、貸室を暴力団の事務所として使用したことが背信行為であるとして、解除を有効とした判例(東京地裁/平成7年10月11日判決)があります。

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