クリーニング代は借主負担?貸主負担?
質問で指摘されているクロスの傷みが、借主の「通常使用による損耗」なのか、それとも「通常の使用を超えた損耗」なのか、その区別が問題となる点は前項と同じです。
ここでも、ガイドラインを基準に検討してみましょう。
喫煙環境は厳しくなる風潮ですが、現在のところ一般的に部屋で喫煙すること自体は認められている場合が多いですから、クリーニングで除去できる程度のヤニについては「通常使用による損耗」と考えられます。よって、ヤニがクリーニングで除去できる程度であれば、クリーニング費用は貸主側の負担となるといえるでしょう。
もっとも、借主には、賃貸物件を必要以上に汚さないように注意して使う義務があります(善管注意義務)。ですから、喫煙時に定期的に換気をするなどして、汚れを最小限にとどめるよう努力しなければいけません。
換気を怠ったことが汚れの原因であれば「通常使用による損耗」とはいえませんから、この場合のクロスの張り替え費用は、借主が負担することとなります。
もっとも、賃貸借契約において室内での喫煙が禁止されている場合には、タバコのヤニによるクロスの汚れは「通常使用による損耗」とはいえないと考えられます。
この場合も、クリーニングで除去できる程度の汚れであっても、借主がクリーニング費用を負担すべきと判断されるでしょう。