契約書に「催告不要」の特約があったら
借主に対して家賃の督促をしなくても、貸主側が一方的に契約を解除できることが契約書に明記されている(無催告の特約)場合はどうでしょうか?
結論から言えば、いくら契約書に「催告不要」と書いてあったとしても、催告の手続きはしておいたほうがよいでしょう。
判例では、このような取り決めは「催告をしなくてもあながち不合理とは認められないような事情が存する場合」にのみ有効としています(最高裁判所/昭和43年11月11日)。
言い換えれば、一方的な契約解除は、それが止むを得ない特殊な事情以外は原則として無効だということです。
ですから、貸主が契約を解除する場合には、ある一定の期間を定めて、その期間内に家賃を支払うよう借主に請求することが望ましいのです。
この場合の「期間」とは、通常1週間程度を定めれば問題ないでしょう。
なお、家賃の請求や契約解除の意思表示をしたことは、裁判のときに貸主側が証拠を提出しなければいけません。そこで、配達証明付内容証明郵便で、「この書面受領後、1週間以内に未払い賃料○○○円が支払われない場合は、賃貸借契約を解除するとの意思表示をします」という書面を入居者に郵送しておくことが必要となります。