「信頼関係の破壊」の判断基準
賃貸借契約を解除するためには、信頼関係が破壊されたという事実が必要になります。
建物の賃貸借契約は、売買契約のように、何かを売ってもらう代わりにその代金を支払うというような1回限りの関係ではありません。普通は契約が数カ月から数年間続くことが想定されるので、そのためには両者の信頼関係が不可欠です。これを解除するためには、信頼関係が破壊されたという事実が必要になるのです。
多くの裁判例では、賃料不払いが当事者間の信頼関係を破壊するような不誠実なものでない限り、契約を解除することは貸主と借主の間の信義に反し、許されないとされています。
そして、信頼関係の破壊については、不払いの理由、不払いの金額、不払いの期間、一旦は不払いがあってもその後法務局に対して供託の手続きをし続けているか、などさまざまな事情を考慮して裁判所が判断することになります。
したがって、質問のケースのように3カ月分の未払いがあったとしても、貸主側の望む契約解除が認められるとは限りません。
しかし、借主に未払い分の家賃を払おうという誠意がまったくなく、止むを得ないような理由(高額な治療費を支払うためにどうしても払えなかったなど)がなければ、未払い分の賃料を請求(催告)したうえで解除が認められる可能性は高いでしょう。