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入居・退去時の物件チェック

原状回復費用を算出するためには、引き渡すときの物件の状態と明け渡すときの物件の状態とを比較して、どの部分がどのように傷んだのかを確定させなければなりません。
訴訟で原状回復が問題となり、貸主が「畳の焦げ後は借主が入居後にできたものだ」と主張し、借主が「畳の焦げ後は入居前からあった」と主張したとします。
そもそも賃貸借契約を開始する前から存在していた損耗について、その後に入居した借主が負担する必要はないので、貸主は畳の焦げ後が入居後に生じたものであることを立証しなければ裁判に勝てません。
また、訴訟に至らなくても、損耗の対象について争いが起きれば、話し合いが長期化することは必至です。そこで、「物件状況確認チェックリスト」を作成して物件の状態を確認しておけば、損耗の発生した時期、箇所、程度について無用な争いを避けることができます。このチェックリストの作成は、貸主・借主双方にとってメリットがありますから、是非作成するようにしてください。また、目立つキズや汚れがある場合には、入居前に写真を撮影しておき、視覚的に損耗を明らかにしておくとよいでしょう。
なお、写真を撮る場合には、損耗部分の全体が確認できるように、引いた写真とアップの写真を両方撮っておくようにしましょう。また、写真はひとつの箇所について複数枚撮影し、忘れずに日付を入れておいてください。
そして、契約期間中に、カビ・結露の発生、地震による窓ガラスの亀裂など賃貸物件に重大な変化が発生した場合、借主がすぐに報告するよう告知してください。
この報告をすぐに受けることで、賃貸物件に発生した異変が、いつ、何を原因として発生したものかが明らかとなり、無用な争いを防ぐことができます。

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