契約期間終了前に契約を終わらせるための3条件
このケースは、入居者側が期間満了前に契約を「終わらせたい」と思っているという点で、前のケースとは逆のパターンになります。
一定の期間を定めた賃貸借契約において、契約期間中に入居者の側から契約を終了させる方法としては、次の3つがあります。
① 契約の解除
② 合意解除(合意解約)
③ 特約による解約権の行使
このうち①の契約解除は、貸主が契約で定められた通りに建物を使わせていない(債務不履行)といった事情があり、信頼関係が破壊された場合に限り解除が可能になります。逆にいえば、このような明確な事情がなければ、契約の解除はできません。
次に、②の合意解除(合意解約)は、①のような事情がなくても、貸主と借主の双方が賃貸借契約を終了させることに合意した場合には、契約が終了するというものです。
もっとも、合意解除は、当事者の双方の合意が必要なので、いくら借主側が契約の終了を求めても、貸主の側がこれに応じなければ、この方法で契約の終了はできません。
このように、貸主側に債務不履行がなく、合意解除にも応じてもらえないという場合、借主側が講じてくる可能性のある手段とはどんなものなのでしょうか?
賃貸借契約書を確認してみましょう。契約書の特約で「契約期間内に賃借人がこの契約を解約するときは、3カ月前に予告するか、予告後3カ月分の賃料を支払わなければならない」と定められていれば、借主がこの特約に従って契約を終了させる手段に出ることも考えられます。