支払いが済むまでは物件を明け渡してもらえない?
では、造作買取請求権が認められる場合、借主から造作の時価が支払われるまでは建物を明け渡さないと主張されても仕方ないのでしょうか?答えはNOです。
借主側からすれば、造作によって建物の利用価値が増加している以上、その費用を支払ってもらえるまでは建物を明け渡したくはないと考えるかもしれません。
しかし、判例(最高裁判所昭和29年1月14日判決)は、反対に、造作の時価が支払われないことを理由に明け渡しを拒否することはできないという結論を採っています。これは、造作と建物の明け渡しはあくまでも別であるという考えに基づいています。