家賃の減額を請求する場合は?
借主が、家賃の値上げを拒否するケースとは別に、家賃の「減額」を求めてくることもあるでしょう。例えば、現在住んでいるマンションが、周辺の同様の物件と比べて明らかに家賃が高い場合に、値下げ要求してくるケースです。
この場合も、家賃が貸主と借主の合意によって決まるという原則は変わりません。借主側による一方的な値下げはできないので、貸主と協議をすることになります。
協議しても合意が得られない場合、法的手続きをとることになり、調停か訴訟により正式な家賃額を決めるという流れは、値上げ拒否の交渉と同じです。
やはり法的手続きで解決までに時間を要しますから、この間はそれまでと同額の家賃を請求するべきでしょう。
裁判で借主から要求された家賃額(従前の家賃より安い家賃額)が認められれば、貸主は、その差額に年1割の利息を付した金額を借主に返還しなければいけません。
もっとも、家賃の減額を求めて訴訟を起こす場合も、多くの時間とお金(弁護士費用、不動産鑑定士に支払う費用など)がかかりますから、借主側では、訴訟を起こした場合に採算がとれるか見極めてから行動に移すと思われます。
以上のように考えると、借主が家賃の減額を求める訴訟で採算がとれるのは、家賃がかなり高額な場合(主に営業店舗やオフィスの賃貸借契約)に限られると考えられます。