無断で猫を飼っていても即契約解除はできない
多くの賃貸借契約書において、「借主は貸室内で犬猫などのペットを飼育してはならない」という特約条項が記載されています。
確かにペットを飼育することにより、鳴き声による騒音が生じたり、貸室内を汚したり、糞尿などの臭いが室内に染みついてしまうなどの問題が生じます。
賃貸借契約書にペットの飼育禁止特約を設けることは、合理的な理由があるといえるでしょう。判例も、このような特約は合理性があるとして、有効であると判断しています(東京高裁/昭和55年8月4日判決、東京地裁/平成7年7月12日判決など)。
では、このような特約に違反して、借主がペットを飼育していたことがわかった場合、貸主は、賃貸借契約を直ちに解除して、借家を明け渡してもらうことができるでしょうか。
観賞目的のペットは、飼育していても貸室にはほとんど悪影響がないと考えられます。ですから、熱帯魚を飼っていた場合、ペットの飼育禁止特約があるからといって、特約違反を理由に賃貸借契約を解除することはできません。
また、犬や猫などを飼っていた場合でも、直ちに賃貸借契約を解除できるとは限りません。ここでも、貸主と借主との間の「信頼関係」が損なわれたかどうかが、争点になるからです。
借主がペットを飼うことによって、貸主や隣室の住人に迷惑をかけたり、室内を汚すなどして、貸主との信頼関係が破壊されたことが証明できれば、賃貸借契約を解除することができます。