敷金は滞納賃料・損害賠償金の担保
敷金とは、借主が支払いを怠った家賃(滞納賃料)や、賃貸物件を傷つけてしまった場合の損害賠償金を担保するために支払われるものです。
1.地方の慣行で異なる「敷金」
借主が建物や部屋を明け渡した後、貸主は滞納賃料や原状回復にかかった費用を敷金から差し引きますが、残った分は借主に返還しなければなりません。
敷金をいくらにするかについては、法律で特に決まっているわけではなく、各地の取引慣行によって異なります。東京では、一般的に、敷金は賃料の1~3カ月分とすることが多いようです。
2.「敷引特約」について
関西地方では、明け渡しの際に敷金の何割かを差し引いた上で、さらに滞納賃料や原状回復にかかった費用を差し引き、その残りを借主に返還するという特約が結ばれることがあります。このような特約を「敷引特約」といいます。
敷引特約は、これまで有効な特約であるとされてきました。
しかし、最近では、信義則(お互いに相手の信頼を損なわないように行動すべきだという原則)に違反して賃借人の利益を一方的に害するものであるとして、「消費者契約法」10条により、無効であるとする判決が相次いで出されています(神戸地裁/平成17年7月14日判決、大阪高裁/平成18年7月26日判決など)。