家賃滞納対策
明渡しが完了するまでの間「賃料額を超える損害金」を請求できるか?
今回のテーマは、契約が解除されたのに借主が退去しない場合に、
明渡しが完了するまでの間「賃料額を超える損害金」を請求できるか?ということです。
家主のAさんは、賃料1ヶ月10万円で、借主Bさんにアパートの一室を貸していたが、
Bさんが3ヶ月間分の家賃を滞納したというケースで考えてみましょう。
Aさんは、3ヶ月分の家賃を支払うよう督促しましたが。Bさんは払ってくれません。
そこでやむを得ず、Aさんは、平成22年10月31日をもって、Bさんとの賃貸借契約を
解除しました。
この場合、解除の翌日以降、すなわち平成22年11月1日以降も、Bさんが退去せずに
居座っていたとしたら、AさんからBさんに対し、賃料と同額の損害金、
すなわち1ヶ月あたり10万円を請求できることは当然です。
では、10万円を超える金額を損害金として請求できるでしょうか?
この点、実務上しばしば見られるのが、賃貸借契約書で、
明渡が完了するまでの間「賃料の倍額」の金額を請求できる
とする条項を定めている例です。
この契約条項が有効であれば、上記の例の場合、Aさんは、Bさんに対し、
平成22年11月1日以降は1ヶ月20万円の割合の損害金を請求できる、
ということになります。
実は、このような契約条項が有効かどうかは、これまでは、
あまり議論がなされていなかったように思います。
そのため、家主・オーナーさん側は、契約条項を盾にして、
当然のように倍額の損害金を請求してきましたし、請求された側の借主の側も、
特にそれを問題とはしなかったため、すんなりと、倍額の支払を命じる判決が
出ることが多かったといえます。
ところが、昨今では、そう一筋縄ではいかないようです。
一例として、大阪地裁平成21年3月31日判決を紹介しましょう。
この判決は、借主が明け渡さないときは、家賃相当額の1.5倍の損賠賠償金を
請求できるとの契約条項を盾に、貸主の独立行政法人都市再生機構(UR)が、
借主に対して、1.5倍の金額を請求したが、
借主は、1.5倍は取り過ぎだと主張して争った事案です。
結論から言えば、裁判所は、賃料相当額部分の請求は認めましたが、
それを超える部分の請求は認めませんでした。
ここで裁判所が使った理屈が、消費者契約法です。
この法律の9条で、契約書で定める損害賠償の予定額や違約金の金額は、
その種の業種に生じるであろう「平均的な損害額」を超えてはならないと定められています。
裁判所は、借家契約解除の場合の「平均的な損害額」とは、
従前の賃料と同額であろうと考えたのです。
このように、昨今では、消費者契約法により、これまであまり問題にされなかった
契約条項が問題視され、家主側に不利な判断がなされるという傾向が顕著になっています。
近時よく話題になる「更新料の有効無効」問題も同様です。
今後は、消費者契約法など消費者側を守る法規制をよく理解して、
家主側も理論武装する必要があるといえます。
家賃滞納1回目が発生したときの対処法
今回は、家賃滞納1回目の場合の対処法についてです。
1回分でも家賃滞納が起きたなら、あなたは、どうしますか。
今まで払ってくれていたから、もう1ヶ月分くらいは様子を見ようとか、
すぐに督促するのは気が引けると思っていませんか。
また、面倒だから、知り合いの不動産屋に督促してもらおうとは思っていませんか。
しかし、このような対応では、1ヶ月分が2ヶ月分・3ヶ月分とすぐにたまり、
どんどん損失が膨らむ可能性があります。
あなたは、ボランティアで部屋や家を貸しているわけではありません。
貸すことで利益を出さなければ意味がありません。
賃料でローンを払っている方はなおさらです。
したがって、滞納に対しては、毅然とした態度でのぞみ、
回収が難しいと分かったらすぐに退去に向けた手続を踏んでいく必要があります。
滞納が起きたら、すぐに行動しましょう。
今回お送りした書式を参考に、督促書を作ってみて下さい。
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ご自分で書くのが面倒、あるいは、督促書を送った後に
借主と直接交渉するのがわずらわしいという場合もあるでしょう。
その場合は、弁護士が作成をします。
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もしかしたら、弁護士名での督促だけですぐに支払ってくれて
解決するかもしれません。
また、いずれにしても、すぐに行動して借主と交渉することにより
「なぜ滞納したのか」が分かることもあるでしょう。
そうすれば、次に何をなすべきか、交渉を続けるのか、それとも、
交渉は打ち切って、一旦法的措置に持ち込むのか、目標がはっきりします。
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それで良いですし(安心できます)、早急に弁護士に依頼して1回目の督促と
併行して明渡訴訟への準備も進めるべきと分かれば、早めの対応ができます。
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次回予定:次回のテーマは
「督促書を送っても、借主が何の反応も示さなかったらどうするか?」です。
督促書を送っても、借主が何の反応も示さなかったらどうするか?
今回のテーマは、
「督促書を送っても、借主が何の反応も示さなかったらどうするか?」です。
滞納が1回(1ヶ月分)に対して督促書を送った場合を想定します。
この場合、まずは、借主が反応を示さない原因を探ることが出発点です。
そのためには、まず、借主に接触しなければなりません。
電話でも面談でもよいので、借主と直接話すことを試みましょう。
話合いにすら応じてこない場合は、もはや誠実な借主とは言えませんから、
今後も滞納が解消されない場合には、ビジネスライクに、
契約解除 → 明渡交渉(訴訟)と進めていきましょう。
直接の対話ができた場合は、不払の原因を探り、次の対処や方向性について
道筋を付けましょう。
以下では、不払の原因ごとに、対処法を解説します。
ただ、あまり細かく分類しても分かりにくいですから、
まずは、原因を大きく2つに分けてみます。
(原因その1)払いたくても払えない場合
払えない原因は色々でしょうが、たとえば、給与が激減した、失業した、
家族が病気で急な出費がかさんだ、などの場合です。
この場合は、借主の事情を聞きつつ、そもそも滞納分を解消できそうか、
それとも、解消できずに今後もズルズルと滞納の可能性があるのかを
見極めなければいけません。
後者の場合(滞納が解消しそうにない場合)は、残念ですが、
退去してもらう方向での解決を考えなければならないでしょう。
話合いで解決しない場合には、明渡訴訟も視野にいれなければなりません。
前者の場合(滞納を解消できそうな場合)は、滞納分をいつまでに
解消できるか具体的な計画を立てさせればよいでしょう。
もちろん、滞納分と一緒に毎月毎月の賃料の支払いも
していかなければなりませんので、それも含めての計画になります。
そして、計画を立てたら、今度はそれを書面化して支払の約束をさせましょう。
書面化にあたっては簡易裁判所の即決和解を利用して裁判所作成の書面を
作るのがベターですが、それが無理であれば、とりあえずは、
当事者同士で誓約書や確約書にサインしましょう。
書面化しても守らない人もいますが、口頭での約束に比べると、
自身がサインするという作業を踏むので、それを守ろうという気持ちが
一段強くなる、すなわち、守る可能性が高くなるというメリットがあります。
(原因その2)そもそも払うつもりがない場合
これも細かい理由は色々あるでしょうが、よくあるのは、トイレが使えない、
雨漏りがする、床にキズが付いていたなど、借家の設備などに不満があるために、
賃料を払わないと主張する場合です。
この場合、貸主としてはどういう対応をすべきでしょうか。
まず、雨漏りやトイレの破損など、一般的に借主の生活に支障を来すと
考えられるような場合には、貸主が修繕義務を負うことが多いでしょう。
その場合、借主は、使用できない程度に応じて、賃料の一部について
減額請求ができるという考え方が有力ですが、それでも、
全部の支払いを拒むことはできません。
したがって、借主が、全額払わなくてよいのだと主張したとしても、
それをまともに受け取ってはいけないということになります(当然ですが)。
貸主としては、ひとまず賃料は賃料で全額払うよう要求し、修繕すべき箇所に
ついては速やかに修繕するという態度でよいのではないでしょうか。
次に、床にキズが付いていたなど、一般的に生活に支障をきたさない場合は、
特約等で別途合意した場合を除き、貸主に修繕義務はないと考えられますので、
堂々と賃料全額の督促をし、それでも払ってこない場合には、
契約解除 → 明渡交渉(訴訟)へと進めばよいでしょう。
以上、不払の原因別に対処を述べてきましたが、実際には様々なケースが存在します。
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判断に迷われる場合には、当事務所までご相談下さい。
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即決和解手続とはどういう手続か?
今回のテーマは、
「即決和解手続とはどういう手続か?どういう場合に利用すればよいのか?」です。
当事務所に寄せられるご相談の中には、次のようなケースがよくあります。
それは、
「賃料を滞納している借主から、滞納賃料を分割払いして、
2ヶ月後には出て行くとの念書を差し入れてもらいました。
判子も押してもらいました。これで、安心ですよね?」
というものです。
答えは、残念ながらNOです。
なぜならば、借主が念書の約束を破り出て行かなかった場合には、
建物明渡しの裁判を経ないと退去させることができないからです。
もちろん、念書をとらないよりはとる方が良いのですが、
守られなかった場合はどうなるかということを想定すると、
念書だけでは安心できないのです。
では、上記相談のケースでは、どのようにしたら良かったのでしょうか?
答えは、即決和解手続(正式には、訴訟提起前の和解)の利用です。
即決和解手続とは、当事者同士で和解や合意の見通しがついた場合に、
その和解書を裁判所に作成してもらう手続のことです。
そのメリットは、相手が和解で決められた退去期限を守らなかった場合に、
裁判を経ずに、強制執行ができることにあります。
裁判をして判決をとってから強制執行をするのと、裁判を経ずに
強制執行をする場合とでは、期間にして、3~4ヶ月は違ってきます。
また、裁判を弁護士に頼む場合を考えると、費用面でも、
数十万から50万円程度は違ってきます。
以上のことから、当事者同士で合意ができている場合でも、
念には念を入れて、あと少しの手間を惜しまずに、即決和解手続の利用を
ご検討いただければと思います。
申立書の書式も用意しましたので、参考にして下さい。
【書式NO3 訴え提起前の和解申立書】
→ http://www.ft-online.jp/2010/05/report.html
(※事案に応じて記載内容は異なってきますので、ご利用にはご注意下さい)。
なお、公正証書の場合は、滞納賃料の支払いについて強制執行はできますが、
建物明渡しについての強制執行はできませんので、ご注意下さい。
もちろん、当事務所でも、即決和解手続の代理を承っております。
裁判所に行く時間がない、手続が面倒だから誰かに任せたいという場合には、
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次回のテーマは、
「賃料を滞納したまま、借主が行方不明になったらどうするか?」です。
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賃料を滞納したまま、借主が行方不明になったら?
今回のテーマは、
「賃料を滞納したまま、借主が行方不明になったらどうするか?」です。
当事務所に寄せられるご相談の中には、借主が行方不明で困ったというケースがあります。
例えば、
「借主が賃料を半年分滞納したまま連絡がつきません。部屋にも居ないようです。
迷惑なので、中に立入って残された荷物を処分して、次の人に貸してもよいですか?」
というものです。
このような場合、まずは室内の立入検査をすることになります。
立入検査の結果、借主が賃借権や残置物の所有権を「放棄」したといえる状況であれば、
貸主自身で荷物を処分しても違法とはいえないでしょう。
ただし、処分の前に予告をしたり、処分の際に写真を
撮っておくなど、後々のトラブルに備えて必要な手順を踏むのが無難です。
これに対し、「放棄」したといえる状況ではない場合には、行方不明の相手に対して、明渡しの
裁判をして判決をとり(※行方不明の相手には、公示送達という方法を使って裁判ができます)、
強制執行手続きを踏まなければなりません
この手続を省いて荷物処分をすることは違法となり、
借主に対する損害賠償責任を負うおそれがあります。
では、どのような場合に「放棄」したといえるのでしょうか。
この判断は、一刀両断にはできません。
行方不明の期間、室内の状況(荷物の量、電気ガス水道などライフラインの使用状況)、
郵便受けの状況(新聞などがたまっていないか)、近隣への聞き込みなど様々な事情から
判断されることになります。
以上から言えるのは、訴訟・強制執行という手順を踏むことが最も安全だということです。
なぜなら、上記のとおり、「放棄」の判断は一刀両断にはできませんし、
後で借主が現れた場合に「放棄」したかどうかを争われる可能性もあるからです。
もちろん、事案によっては、明らかに「放棄」といえる場合もあるでしょうが、
簡単に判断することは危険です。
後でクレームを受けたり損害賠償責任追及を受けないためにも、
判断に迷われた場合には、専門家にご相談下さい。
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次回のテーマは、「法定更新の場合に更新料を請求できるか?」です。
法定更新の場合に更新料を請求できるか?
今回のテーマは、
「法定更新の場合に更新料を請求できるか?」です。
居住用物件の賃貸であれば、2年契約で、期間満了を迎えるにあたり
新たに契約書を取り交わす(合意更新する)という例が多いと思います。
しかし一方で、賃料額や物件の補修等を巡り当事者間でもめるなどして、
合意更新ができなかったという例も多く見られます。
このように合意更新ができなくても、更新拒絶の通知等が
なされなかった場合には、法律の規定により、
従前の賃貸借契約は法定更新され、継続していくことになります。
では、更新料についてはどうなるのでしょうか。
貸主サイドからすれば、従前の契約で払うと約束したのだから
払ってくれと言いたいでしょう。
借主サイドからすれば、合意更新しなかった場合には更新料は
払わなくてよいという主張があり得ます。
このような場合、裁判になったら、どちらが勝つのでしょうか。
現状では、裁判所の判断が分かれており、貸主・借主どちらにとっても、
勝ち負け両方の結論があり得ます。
そのため、貸主サイドとしては、更新料のことを考えれば、
できるだけ合意更新をした方がよい、ということになります。
また、法定更新となった場合でも、更新料の請求を認めた裁判例の
考え方に依って立ち、更新料を請求していくというスタンスを
取ることになります。
以上のとおりで、合意更新をしなかった場合には、更新料を
請求できなくなる可能性もあるということを
押さえておいていただきたいと思います。
もし、更新料の問題でお悩みでしたら、お気軽にご相談下さい。
更新料については、上記の問題のほかにも、更新料の取決め自体が
有効か無効かをめぐって今年中には最高裁の判断が出そうです。
ご自身の物件の更新料条項は大丈夫か、無効とならないか心配だ、
そういったことでお悩みの家主様・管理会社様も、お気軽にご相談下さい。
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次回のテーマは、「物件の修繕は、貸主・借主のどちらが行うべきか」です。
物件の修繕は、貸主・借主のどちらが行うべきか
今回のテーマは、
「物件の修繕は、貸主・借主のどちらが行うべきか」
です。
民法606条によれば、
「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う」
とされています。
そうすると、賃貸物件の修繕は常に家主が行うべきということにも
なりそうですが、上記条文の意味は、一般に、賃貸借契約の目的
(たとえば、居住用物件であれば、居住目的)どおりに賃借物件を
使用するのに支障が生じている場合には、家主が修繕義務を負う
ということだと考えられています。
つまり、何でもかんでも家主が修繕義務を負うというわけではなく、
「使用に支障が生じている場合」に限定して家主が修繕義務を
負うということになります。
そうすると、たとえば、ちょっと床にキズが付いているから直してくれ
と言われても、一般的には、家主に修繕義務はないものと考えられます。
では、よくあるケースですが、賃貸借契約において、修繕は借主の
負担とする旨の特約を定めている場合はどうでしょうか。
この場合、一見、全てにおいて借主が修繕義務を負わなければ
ならないようにも見えますが、一般的には、上記のような特約を
定めても、借主の修繕義務は、小規模な修繕あるいは
通常生ずべき破損の範囲に限られると考えられています。
したがって、雨漏りがするであるとか、建物の躯体の修理が必要で
あるといった大規模な修繕が必要となる場合は、特約があったとしても、
借主が修繕義務を負うものではなく、
貸主において修繕義務を負うと考えておいた方がよいでしょう。
今回は以上のとおりですが、参考になりましたでしょうか。
修繕の件でお悩みの家主様・オーナー様・賃貸管理会社様は、
お気軽にご相談いただければと思います。
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次回予定:次回のテーマは、「無催告契約解除特約の実効性」です。
無催告解除特約の実効性
今回のテーマは、「無催告解除特約の実効性」です。
この場合の「催告」とは、たとえば、
「滞納賃料○ヶ月分○円を、本通知書受領後1週間以内に支払って下さい」
と借主に通知することですが、これに、
「期限内に支払がなかった場合には契約を解除します」
と付け加えると「催告解除」ということになります。
これに対し、無催告解除特約とは、たとえば、契約書において、
「賃料の支払を1ヶ月分でも怠った場合には、催告なしで、契約を解除できる」
と定めている場合です。
この場合、実際に賃料1ヶ月分の滞納があった場合に、上記特約に基づき、
催告なしでいきなり解除ができるでしょうか。
この点、過去に繰り返し滞納があった等の事情が合わされば、無催告解除も可能ですが、
そういった事情もなく、ただ単に1ヶ月分滞納したというだけでは、
無催告での解除は難しいでしょう。
さらに言えば、このケースでは、単に1ヶ月分を滞納したというだけでは
催告の上での解除も難しいといえます。
他方、過去の裁判例では、賃料4ヶ月~5ヶ月分の滞納のケースで、
無催告解除を認めたものもあります。
裁判例では、滞納額や滞納月数だけではなく、過去の経過等も考慮しますので、
必ずしも、何ヶ月分の滞納ならば無催告解除も有効と断定することはできませんが、
4ヶ月~5ヶ月分というのは、1つの目安となるでしょう。
なお、実務的には、滞納が4ヶ月~5ヶ月分に達すれば、期限を設けて催告しても、
その期限内に支払えないことがほとんどですから、催告解除でも問題のない
ケースがほとんどと考えられます。
以上のとおりですが、参考になりましたでしょうか。
どのくらいのタイミングで契約解除通知を出せばよいのか、
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次回のテーマは、「借家契約と保証人」です。
借家契約と保証人
今回のテーマは、「借家契約と保証人」です。
借家契約を結ぶ際には、通常、保証人を付けることが多いと思います。
保証人を付ける際に注意して頂きたい点がいくつかあります。
まずは、必ず「連帯保証人」とすることです。
保証人と借主が「連帯して」責任を負うのか、そうでないのかで、
保証人に対する請求の仕方が異なってくるからです。
連帯保証人であれば、借主が家賃を滞納したような場合に、
借主でも連帯保証人でも、どちらか資力のある方に全額を
請求できますが、「連帯」が付かない場合には、保証人から
「まずは借主本人に請求せよ」などの反論を受けてしまいますので、
注意して下さい。もっとも、通常の借家契約の書式であれば、
どこかに「連帯保証」を意味する文言が入っていますので、
念のための注意です。
次に、保証意思の確認が重要です。
当事務所でご相談を受ける例の中には、保証人から、
「賃貸借契約書にサインをした覚えはない」として、支払を
拒まれる例があります。
そのようなケースでよく賃貸借契約書を見てみると、署名欄の
借主の筆跡と保証人の筆跡とがそっくりということがあります。
このような場合、裁判で保証契約の有効性を争われ、保証人への
請求が認められないケースもあります。
そういった事態にならないためにも、保証人の直筆でのサインに加え、
できれば、実印での捺印+印鑑証明書の添付を求めましょう。
実印での捺印と印鑑証明書の添付は、保証契約の有効性が
争われた場合の証拠として、かなり有効です。
最後に、保証人の「資力」の問題です。滞納賃料が発生し、
保証人に対する勝訴判決をとったとしても保証人が支払を
拒否する場合には、保証人の「資産」を差し押さえて回収を
図らざるを得ません。
そうなると、保証人の「資産」がどこにあるのかを把握しておくのが
重要といえます。ですので、賃貸借契約締結時に、できるだけ保証人の
「資産」情報を把握しておきましょう。
たとえば、保証人の「勤務先」「預金口座」等を把握しておくと、
給与や預金等の差押えが可能になります。また、勤務先などは、
後に変更になる場合もありますので、更新毎に保証確認書を取得し、
あらためて勤務先等を書き込んでもらうとよいでしょう。
以上のとおりですが、参考になりましたでしょうか。
保証人問題でお悩みの家主様・オーナー様・賃貸管理会社様は、
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早めの初動で家賃滞納を拡大させない
たとえば、次のような状況の時、あなただったら、どのような行動をとりますか?
あなたはマンション経営をしています。
ある日、借主の1人が、家賃の支払い日に入金をしませんでした。
この借主は、大手企業に勤める役職者です。
あなたが経営する賃貸物件に入居してから、10年以上、一度も家賃を滞納したことがありません。
次の3つのうちから、あなたがとる行動を選んでみてください。
①1週間だけ様子を見る
②その日のうちに通常郵便で督促状を送る
③内容証明で督促状を送る
さて、いかがでしょう?
最も不適切な行動は①「1週間だけ様子を見る」です。
これを選んだ理由は、「大手企業に勤めている」、「過去に一度も家賃の滞納がない」という借主の信用力でしょう。
しかし、この「少しだけ様子を見る」というのが、家賃滞納トラブルを拡大させる原因になります。
1週間後、電話連絡をしてみると、つながらない。もう少し待ってみようと思っているうちに、あっという間に日数が過ぎ、次の家賃も滞納となる。そこで、督促をしてみると、「実は数ヶ月前から失業をして貯金が尽きまして……」と本人から申告がある。
そうこうするうちに、2ヶ月分の滞納が3ヶ月分となり、半年分となっていく……。
これが家賃滞納トラブル拡大のパターンです。
「少しだけ待ってみよう」というあなたの考えが、高額の家賃滞納を招くのです。
これまで借主の信用力を重視して賃貸経営をしてきた方もいるかもしれませんが、大手企業に勤めている人でも、失業してしまえば信用力は低下します。
また、過去に一度も滞納がなかったのに、家賃滞納をしたからこそ、大きな問題が発生したとも考えられます。
③「内容証明で督促状を送る」というのもあまり適切とはいえません。
たった1日支払いが遅れただけで、内容証明が送られてきたら借主は驚いてしまいます。
それに、内容証明が借主のもとに到着した時には、すでに入金されているかもしれません。
また、支払いが1日遅れただけで毎回、内容証明を送っていたら、費用がかさんでしまいます。
適切な対応は②「とりあえず普通郵便で督促状を送る」です。
もちろん、督促状を送る前に電話を入れてみるというのも一案です。
しかし、この時、電話がつながらないからといって、「明日もう1度電話を入れてみよう」と思ってしまったら、①「1週間だけ様子を見る」と結果的に同じ対応になってしまいます。
もう1日、あと1日と思っているうちに、あっという間に日数は過ぎていきます。
また、あなた自身が急に忙しくなって、電話をすること自体、忘れてしまうということもあるでしょう。
ですから、電話がつながらなかったら、その日のうちに督促状を送るという行動を徹底するのが望ましいのです。
だからといって、ただ督促状を送れば安心というわけではありません。
一言で「督促状」といっても、効果的な内容のものと、そうでないものがあります。
督促状の作成や送付を「懇意にしている不動産にお願いすればいいか……」と人任せにしてしまえば、後々、痛い目にあうことになりかねません。
督促は、あなた自身が主体的に行うべきです。
私の経験上、家賃滞納が発生した場合に督促状の文例をご用意しました。督促を行う時には、以下のアドレスからダウンロードしてご活用ください。
この文例は、wordで作成していますので、どなたでも簡単に利用できます。
http://www.ft-online.jp/2010/05/report.html